【分解】巨大過ぎるカメラが鎮座する「日本版 Xiaomi Mi Note 10」の中身を分析。

19/12/30

日本国内版Mi Note 10を分解します。
5連カメラ周りの構造がどうなっているのか、大容量バッテリーがどのように搭載されているのか、内部の構造を見ていきます。
気になる防水性もチェックします。

背面ガラス

背面ガラスは両面テープでかなり強力に接着されています。
カメラ周りには防水処理は無く、この時点で非防水モデルであると認識できます。
カメラ周辺からの水の侵入には特に注意が必要です。

両面テープにはこのような継ぎ目が4ヵ所あるのでガラス貼付け部の防水も期待できません。

NFCアンテナは中心より上方、やや右寄り位置にあります。

独特な反射を生み出す装飾面が少し内側にオフセットしていてその境界線が見えます。

ガラスの裏面を見るとオフセットの境界線と同じ場所に段差があることから、ガラスの裏から貼り付けてあるシートによってデザインを実現していることが分かります。
さらにオフセット分を水色の印刷で埋めて隙間感が出ないようにしてあります。

このシートには微細な凹凸の溝が切られていてその溝のピッチを変化させることで反射光をコントロールしています。
美しいグラデーション色もこのシートに印刷されていると思われます。

部品レイアウト

ボイドシールのmiロゴがオシャレ。

基板ホルダーを外します。
NFCアンテナと放熱シートが一緒に外れます。

基板にもさりげなくmiロゴ。

サブ基板ホルダーを外します。

部品レイアウトはiPhoneに似ています。
バッテリーとカメラが多くの面積を占有し基板も大きいため、追いやられたスピーカーが窮屈に押し込められています。

iPhone SE(第2世代)の分解を別記事で紹介しています。

カメラ、フラッシュLED

金属製のカメラカバーを外します。

108MPのカメラユニットは17mm角と超巨大。
一般的なスマホのカメラの数倍はある大きさです。これではレンズの2mmの出っ張りも頷けます。

カメラの詳しい構造はカメラの分解記事で解説しています。

フラッシュLEDは合計4灯。

クリアライトとソフトライトはよく見るとLEDの素子が別物です。
レンズだけではなく光源から違いがありました。

2つのフラッシュライトの光り方の違いはレビュー記事で紹介しています。

レーザーフォーカスと思われるデバイス。
センサーは108MPカメラと望遠カメラの間にあり、AFの精度と速度を向上させています。

超広角、マクロカメラは個別に取り外すことができます。

インカメラを外します。

メイン基板、スピーカー

メイン基板を外します。

カメラユニットを外します。

Type-Cコネクタ周りにはパッキンが付いていますが簡易的なもので防水効果は期待できません。

イヤホンジャック周りのパッキンも簡易的なものです。

シールドの中には青い導熱シート。

かなり縦長のメイン基板。

スピーカーは小型です。音孔部にはパッキンがありますが、コネクタ周辺同様に簡易的なものです。
容積が少なく音質面でかなり苦しいところ。実際あまり良い音ではありません。

同等サイズのスピーカーを搭載した小型端末Rakuten miniの分解を別記事で紹介しています。

バッテリー

タブを引っ張って接着保持されたバッテリーを取り出します。
バッテリーに負担をかけずに取り出すことができ、これはHUAWEIの端末にも見られる構造です。

端面部にバッテリー保護のためと思われるクッションが貼ってあり安全に配慮されています。

容量5260mAhに達するバッテリーはさすがに大きく、幅40mm×長さ123mm。

厚さは6mm。
かなり厚みがあります。

Sunwoda製バッテリー。PSEマークも取得。
固有のシリアルNo.と生産ロットの日付が印刷されています。

指紋センサー

バッテリーの下に指紋センサー。

センサー部分は10mm×6mm。厚さは約0.7mm(クッションを除く)でした。

センサー面を拡大するとカラフルなドットが規則的に並んでいます。

センサー部分はOLEDが透けていて、画面越しに指紋を読み取っていることが分かります。

レシーバー、近接センサー、サイドキー、バイブ

サブ基板の下にレシーバーがあります。

小型で縦8.5mm×横9mm×厚さ2.4mm。
スピーカー同様この小ささが通話音質に直結しています。

近接センサーはここにいました。

指紋センサーと同様にセンサー部分はOLEDが透けています。
ベゼルの中にあるのではなく画面越しに物体の接近を検出しています。

側面のボタン部分はキートップ、抜け止め、タクトスイッチの3部構成。
ストロークの深いスイッチを使用しています。
スイッチのはんだ部分は樹脂コーティングによって簡易的に防水処理してあります。

バイブは直径8mm、厚さ3.25mm。

メインフレームはインサート成形されたアルミ製。
全体的に肉厚で剛性感のあるシャーシ。

綺麗に分解できました。

講評

規格外に大きなカメラが閉じ込められていました。
中身のほとんどを占める5つのカメラとバッテリーのためにスピーカーが犠牲になった感が否めません。

中国系メーカーではこのように製品の目的が内部構造に反映されやすい傾向があります。
そういった取捨選択が製品にもしっかり落とし込まれているためにコンセプトと価格のバランスが絶妙になるのだと考えます。
今回でいうと、凄まじいスペックのカメラを電池持ちを気にすることなく楽しむというのが目的でそれ以外(スピーカーとか)はそこそこで、という思想が内部構造から伝わってくるのです。
割り切りが非常に上手いメーカーだから出来ることだと言えます。

防水に関しては、実は対応してるのではと思ったのですがそんなことは無く、外から見える穴に対して処理をしてあるものの浸水に耐えるレベルではない簡易的なものでした。
特にカメラ、マイク周辺はほぼ無防備なので注意が必要です。