【分解】eSIMが叶えた小型軽量の夢「Rakuten Mini」の内部構造を分析。

20/02/28分解

楽天モバイルのコンパクト端末 Rakuten Miniを分解して小型軽量の理由を分析していきます。
日本では馴染みの無い端末メーカーであるWiko/Tinnoの設計、製造レベルはいかほどなのでしょうか。

背面ガラス

背面ガラスは両面テープ固定。かなり強力です。
剥がす際にテープがブチブチとちぎれてしまうので再利用はできません。

両面テープには継ぎ目があり、結構な隙間が空いているので防水性はありません。

透明のガラスの裏にスピン目状のテクスチャが施されたシートが貼られています。
以前分解したMi note 10と同じ構成ですが、こちらはオフセット量が非常に少なく全面に印刷されているように見えるほどです。
相応にコストのかかった部品です。

同様の構成を持つXiaomi Mi Note10の背面ガラスを別記事で紹介しています。

パネルの厚さは0.82mm。
これはシート込みの厚さなのでガラス単体では恐らく0.7mmでしょう。

このシートは剥がして色を変更することもできます。

Felicaアンテナ

Felicaアンテナの位置は赤枠部分。
マークが印刷されたちょうど真下にあります。

部品レイアウト

10本のネジを抜いてリアケースを外します。
基板、バッテリー、スピーカーが約2:2:1の比率で格納された、スマートフォンではよくみられる一般的なレイアウト。
なお、ケースを外す際にコーナー部のクッションが表層剥離しました。残念ながらここも再利用不可です。

ネジは1本だけ長さが違います。
ネジ穴の奥に余裕が無いわけではないのでなぜこうなっているのかは分かりません。

防水・防塵性

メイン基板外周にぐるりと貼られたクッションは簡易的に防水、防塵を狙ったものでしょうか。

赤色部分にクッションが貼られています。
ここは水や異物の主な侵入経路で、本体サイズが小さいためにどこからでも弱点部分までが近いことからこういった対策は有効であると考えられます。
ただしあくまでも簡易的な対策であり、水場での使用や粉塵の多い場所での使用に耐えられるものではありません。

内部異物と組み立て不備

ケースに貼られたクッションに毛が挟まっています。
他に細かいゴミも散見され、開けてみての印象は「汚い」。
中華メーカーのスマホは総じてクリーン度が低いのですが、例に漏れずRakuten Miniも程度が良くありません。

ケースのリブにクッションが乗り上げて組付け時に咬みこんでしまっています。
このようにクリーン度と組み立ての丁寧さは比例するのが通例。

リアケース

蒸着されたメインフレームとガラス周囲の白いリブとの2ピース構造になっています。
リブは非常に細い樹脂成型部品で、全周に渡ってボンドで接着固定されています。
見かけの薄さのためにデザインの都合であえてコストのかかるこの方法を採用したと考えられます。
もし一体の部品でリブ部分まで蒸着されていたらもっと厚みのある印象になっていたことでしょう。
本体はガラスを含まないポリカーボネート製です。

サイドキーは内側からケースに溶着されていて非破壊では外すことはできません。

USBコネクタ

コネクタは補強板金で押さえ込んでネジでしっかりと共締めしてあり強度に配慮されています。
ゴムパッキンが被せられていますが防水性は期待できません。

はんだ部分もボンドで保護、補強されています。
2万円前半の端末とはいえ破損しやすいコネクタ周りはしっかりと対策されています。

パッキンはメインマイクのガイドと共用です。
フレームに空けられた穴のうち右から2番目がマイク穴になっています。
その他はダミー穴で裏から完全に塞がれています。

スピーカー

スピーカーはこの位置。

フルサイズのスマホさながらのボディサイズです。パワフルな音の理由はここにありました。

アンテナ

Top側。
アンテナを個別部品で入れるのはスペースの制約でさすがに厳しく、リアケースにLDSで直接アンテナパターンを引いています。

Bottom側。
こらも同様に所狭しとLDSのアンテナパターンが走ります。

バッテリー

タブを引っ張ってバッテリーを外します。

バッテリーにダメージを与えることなく容易に取り外しができました。
本体側中央に見える2本のケーブルはメイン基板とサブ基板を繋ぐFPCとディスプレイのFPCです。

バッテリーのサイズは 縦41mm×横45mm×厚さ4.7mm。

PSEマーク取得。
シリアルがあるので何かしらのトレーサビリティは行っている様子。
表には定格容量1220mAhと記載があります。
裏にはセルの容量と思われる1240mAhの文字。
公式スペックより少ない?と思い楽天モバイルのホームページを確認すると「約」1250mAhと書かれていました。
バラツキで1250mAhのものもあるかもしれませんが、バッテリーに刻印された数字からして公式スペック値以下のものが多数存在するものと思われます。
1250mAhは最大値としてみておいた方がいいかもしれません。

メイン基板

ネジを1本抜いて基板を取り外します。

近接センサーへの光路となるゴム製のガイドに樹脂製のレンズが挿しこまれていました。
これは珍しい構造で、厚みのあるゴムがつぶれて光量が不安定になることを防ぐためのものと推測します。

ディスプレイ側のシールドの中には導熱グリスがべっとり。かなりの量です。メモリはHynix製。
そしてどちらの面にもカードスロットを実装するスペースがありません。
実装の高密度化やコネクタと端子の最適化により置けなくもなさそうですがこの価格帯では現実的ではなく、eSIMだからこそコストとサイズを両立できた基板サイズであると言えます。

カメラ

500万画素のインカメラと1600万画素のメインカメラ。

この小さなカメラと対象的な超巨大カメラを搭載したXiaomi Mi Note10の分解を別記事で紹介しています。

レシーバー

やけに簡単に外れると思ったら1辺が接着されていませんでした。
明らかに組み立て時の圧着不足です。製造の程度が見て取れる一件です。

サイズはかなり小さめ。

サイドキー

スイッチが側面に貼り付けてあります。
実装部分が黒いシートで完全に包まれているため水分、異物による故障に気を遣っていることが伺えます。

サブ基板

フロントケースに"なぜか"超強力接着されたサブ基板を外します。
あまりに強力なため取り外しの際に基板を曲げて破損させるリスクがあるのですが、これは格安系中華メーカーによくみられる傾向です。
もしかするとスピーカーを小型化してレイアウトを見直せばここにSIMカードスロットが置けたかもしれません。
が、大型のスピーカーを置いてeSIM化という選択をしたことは正解でした。

USB、メインマイク、アンテナ、スピーカーの中継を担う基板です。
バイブモーターは細線をはんだ付けするタイプ。

ディスプレイパネル

表ガラスは接着剤で強固に固定されています。
もちろん一度はがすと再接着不可。

ガラスの厚さは背面ガラス同様の0.7mm。
液晶のバックライトとタッチパネルのケーブルは1本のFPCに集約されています。

FPCの位置合わせを正確にするため、ケースにケガキ線が彫られています。
FPCに印刷された白いラインとこのケガキ線が一直線になるように組付けます。

フロントケース

ガラス10%入りポリカーボネートを主材料として、アルミフレームをインサートしたケース。
薄肉で剛性はそこまで高くないため、ガラスとリアケースを含めた構造全体で強度を確保しています。

各部の重さ

ディスプレイ17g。背面ガラス10g。

フロントケース12g。リアケース6g。

全部品の中でバッテリーが最も重く18g。基板は10g。
以前分解したXiaomiのMi Note10のバッテリーが71gですからその差は歴然です。
ディスプレイとバッテリー以外に重量物がありません。

Mi Note10の重量分析は別記事で紹介しています。

放熱設計

Felicaアンテナの下で銅箔シートと導熱シートを重ね貼りし、基板から生じる熱の拡散を図っています。
基板をむき出しにせずリアケースの樹脂を一枚挟んでいるのはユーザーの手に直接熱を伝えたくないという意図の表れと考えられます。
その他にも基板の両面、フロントケースの液晶裏に導熱シートを貼り、小さなボディにできるだけ熱を拡散させようと放熱に関しての苦労が伺えます。
全体を見ると主にフロントケースにインサートされたアルミフレームに放熱させる構造になっています。

分解完了

綺麗に分解できました。

対照的に非常に部品が多いiPhone SE(第2世代)の分解を別記事で紹介しています。

講評

eSIMが設計の自由度を拡張し、基板の小型化=端末の小型化に大きく貢献したことが分かりました。
加えてイヤホンジャックが無いことも小型化を容易にしました。

軽さの秘密はバッテリーにあり、これに関しては他の部品の実装面積を確保するために結果的にバッテリーが小さくなった結果軽量になったのではと推測しています。

コスト面では特に高コストになるような特殊な部品や設計は見られず、相応の価格といった印象です。
構造部品においては1ケーブルのディスプレイ、2ピース構造+LDSのリアケース、背面ガラス、放熱部材、防水防塵構造、これらが主なコストのようです。

なかなか考えられた設計ではあるものの作りの甘さは無視することができず、組み立て不備が目立ち、Tinnoの製造レベルが垣間見える内容でした。

ちぎれる両面テープや表層剥離が起きるクッション、ボンド固定のディスプレイなど再利用ができない部品があり、修理性はあまり良くありませんでした。
個人で修理に挑戦される方は注意してください。

eSIMの採用は部品削減、ハードウェアの検証費用削減、実装面積削減など大きなメリットがあり、今後この手の小型端末には必須となるでしょう。

このモデルによって小型端末が盛り上がり、たくさんのコンパクト機が登場することを願ってやみません。

分解