【分解】「Xiaomi Redmi 12C」からみる格安スマホの作り方。
格安SIMフリースマホの日本国内版「Xiaomi Redmi 12C」を分解します。
背面カバー
プラスチック製の背面カバーは爪で嵌っているだけで簡単に外すことができます。
カメラと指紋センサー周りが両面テープで接着してあります。アンテナはカバー側の上下に1ヵ所ずつ配置。
基板カバー
カメラカバーと一体の基板カバー。放熱シートで基板の熱を拡散します。
NFCのアンテナはありません。
タッピングネジ
タッピングタイプの原始的なネジ止めの方法を用いることで部品コストを削減しています。
高めのトルクでしっかりと部品を固定しています。
リアカメラ
5000万画素のメインカメラと深度カメラのモジュール。
基板上には2つのカメラの間にもう一つカメラがマウントできそうなスペースとパターンが存在しています。
フロントカメラ
ラバーカップの中に収められた500万画素のフロントカメラモジュール。
カップはホコリ除けとカメラの保護を同時に果たします。
指紋センサー
大型のバッテリーを避けるように上方に追いやられたセンサー。
チョビっと飛び出した2つの耳を基板カバーに
メイン基板
導熱グリスを使ってメインフレームの板金に放熱しています。低コストスマホといえどもここは抜かりなく手が入っています。
実際に発熱は控えめに抑えられており、熱に悩まされることなく使用できた一因にはこういった放熱構造の貢献があるようです。
外観は汚れも無くクリーンな状態。
バッテリーのコネクタにはヒロセ電機製を使用。この一ヵ所のみ日系メーカーの物を使用しています。
イヤホンジャックの防塵キャップ
イヤホンジャックにゴム製のキャップを被せて挿し込み口から基板への異物の侵入を防いでいます。
この1cmにも満たないキャップは複雑な形状にもかかわらず大変精度良く作られていてバリや変形がほとんどありません。基板との嵌め合わせもピッタリ。
環境光・近接センサーが無い
環境光・近接センサーは実装されていませんが、基板上にはセンサー用のパターンがありディスプレイ隅には検出窓が残っています。
本来センサーを使用するディスプレイの自動輝度調整と通話時の消画の機能はフロントカメラとタッチパネルで代用して動作させています。
フロントカメラを使用した自動輝度調整
自動輝度調整はスリープ解除などで画面を消灯状態から点灯状態に移行した時に行われます。周囲の環境の変化に即座に反応するものではありません。
フロントカメラを画面を点灯させた瞬間のみ、もしくはその他特定の動作時に起動して周辺光量を計測したらすぐに停止させることで、バッテリー消費を抑える動作となっているようです。
イヤースピーカー
通話専用のスピーカーとして十分なサイズ。通話時の音量も問題なく快適に通話ができていました。
キースイッチ
大型の金属製ドームが使用されたスイッチ。はんだを使用しない単純な構造です。
ドームを覆っている透明のシートには接点部分を異物の侵入から保護する効果も期待できます。
スピーカー
スピーカーボックスは2ピース。基板カバーを兼ねるスピーカーホルダーをメインフレームと合わせるようにしてスピーカーボックスを形成します。
ホルダー内に埋め込まれた板金で基板からスピーカーボックス内に配線を引き込むことで構造を簡素化しつつ安定した気密性を確保しています。
基板との接点部には金メッキを施す念の入れよう。
サブ基板とバイブモーター
microUSBコネクタ周りにはイヤホンジャックと同様にゴム製のキャップが被せてあり、挿し込み口から基板への異物の侵入を防いでいます。
バイブモーターはコイン型のシリンダー式で「ギュイーン」と大きな音を発し、振動のキレが悪いタイプです。
コネクタ周りは補強が行き届いていますが破損を避けるためにも無理な力がかからないように丁寧に扱いたい部分です。
バッテリー
上位機種と同様にバッテリーに負荷をかけずに容易に取り外しができる修理を考慮した構成。
重量級の大型のバッテリーにしてはメインフレームとの接着面積が控えめなのが気になるところ。
接着力が強力なので問題無いと判断されているのかもしれません。
目立った外傷も無く非常に綺麗に作られたバッテリー。最近見たバッテリーの中でも特に綺麗で、丁寧に製造されていることが伺えます。
珍しい表記の「Li-ion 20」が意味するのは、正極活物質中の最大含有金属がニッケルであるということ。一般的には「00」が多く、その場合はコバルトが多く含まれることを示しています。
・モデル名:BN5K
・PSEマークあり
・容量:5000mAh
・メーカー:ATL
・サイズ:縦96.5×幅64.8×厚さ4.3mm
・重量:66g
メインフレームと同軸ケーブル
メインフレームは金属板との一体成型。複雑な加工を不要とすることで安価に生産できるようにしています。
5G非対応ということもあってか、同軸ケーブルは1本のみ。
サブ基板とメイン基板のBtoBケーブルもディスプレイのケーブルと共用することで部品を削減しています。
分解完了
低コストモデルのセオリー通り最低限の部品で組み立てられ、たくさんの工夫によってより一層の簡素化を実現しています。
部品を減らして新しい形や構造を生み出すという真逆の両立ができるアイデアに溢れた設計者が関わっているのだろうと想像します。
失うことばかりのコストカットで作られた安物とは異なる存在であり、迷いの無い完成度からはこのくらいは当たり前と言わんばかりのXiaomiの静かな余裕を感じとることができます。
ディスカッション
コメント一覧
日本が失ったもの作りDNAが受け継がれてる。
これじゃ太刀打ちできんわ。
タイプCでさえあれば…
顔認証をオンにするとディスプレイ自動調光がオフになる理由が分かった
このスマホ値段的にケース無しで運用しても心理的負荷が無いのが良い