【レビュー】飛び出す高速ポップアップカメラと6400万画素4眼カメラの5Gスマホ「POCO F2 Pro Phantom White」の外観と動作を確認。

20/08/16

POCO F2 Proは5Gに対応したハイエンドスマートフォンで、中国で販売されているXiaomi製Redmi K30 Proのグローバルバージョンです。
本体からサブカメラが飛び出すポップアップ式カメラを採用したことによる広大な画面領域が最大の特徴で、更にSnapdragon865を搭載するハイエンド機でありながら実売4万円台前半(2020年8月時点)という驚きの価格が魅力の端末です。

ディスプレイ

表示エリアに3Dカーブの無いフラットガラス。
外周部分だけ僅かにRが付いています。

最初から保護フィルムが貼られています。
防汚処理されているため汚れの拭き取り性も良好で指滑りも悪くありません。ハードコート処理も施されていると思われます。
厚みも薄く、外側からのフリック時に指が引っ掛かる感じもありません。

背面パネル

背面は3Dガラス。
全4色のうちホワイトはグロス(ツヤ有り)です。こちらも防汚処理が入っています。
水色がかったホワイトはXiaomiの定番カラー。白というよりは水色です。

構成

表裏のガラスで金属製のミドルフレームを挟む構成 。
ディスプレイガラスは未塗装の黒い樹脂フレームに貼り付けられています。

ミドルフレームに擦り傷がありました。
ここはフィルムで保護されていたエリアで、製造か輸送かどこの過程で発生した傷かは不明。

アンテナスリット

アンテナスリットは多めの6本。5G対応のために本数が多くなったのかもしれません。

ファンクション

底面部にスピーカー、メインマイク、Type-Cコネクタ、カードスロット。

天面部にサブマイク、イヤホンジャック、赤外線ブラスター。
ポップアップカメラはサブマイクの隣にあります。

右側面に金属製のボリュームキーと電源キー。
赤に着色された電源キーはデザインのアクセントになっていると共にひと目で位置が認識できて便利。
カチカチと明確なクリックがあり押し心地も快適です。

通知LED

ポップアップカメラ部に通知LEDがあります。充電中も光ります。
ON/OFFの設定が可能ですが色の変更はできません。
発光面積が小さく光も弱いため視認性が悪いものの、カバンの中のポケットに立てて入れた時などは天面にある発光面が功を奏して簡単に通知を確認できるという利点もありそうです。

カードスロット

付属のピンを挿し込んでカードトレイを引き出します。
SDカードは非対応。

裏表にカードを取り付けるタイプで非常にコンパクト。
赤いゴムパッキンが一体成型され、水やホコリの侵入に配慮されています。

メインカメラ

4眼構成のメインカメラは円形のガラスの下に収められています。
ここも防汚処理によって汚れが付きにくく拭き取りやすくなっています。
メインの6400万画素カメラはソニーのIMX686センサーを使用。

カメラ部分の厚さは11.01mm。
カメラが中央に位置しているおかげで机置きで使ってもガタガタと不安定になることはありません。

本体部分は9.48mm。
カメラの出っぱり量は1.53mmで6400万画素のカメラにしては意外に低く感じます。
それにしても本体厚さの公称値8.9mmに対して実測9.48mmとは、保護フィルム分0.1mmを差し引いても誤差にしては大きい気がします。

フラッシュLEDは3灯に見えるものの発光するのは2灯のみ。
中央部は明るさセンサーです。ディスプレイ側のセンサーと併せて周囲の明るさを正確に認識することにより、画面輝度の自動調整の精度を向上させています。
ディスプレイ側に比べて背面側が極端に明るい場合に輝度を上げる動作をしていることから、逆光環境(特に撮影時)での視認性の改善を狙ったものかもしれません。

重さ

公称219gに対して実測223g。
200g超えの端末の中でも特に重い部類で、身近な端末ではiPhone 11 Pro Max(226g)に近い重さです。
背面の3D形状とほぼ中心にある重心のおかげで見かけよりは扱いやすいものの、長時間の使用ではハッキリと重さを感じて手首が疲れますし、片手持ちでの画面上方の操作はかなり無理があります。

電源ON

ブート中はPOCOロゴが表示。

Android10ベースのMIUI11がプリインストール。
グローバルモデルのため制限無くGoogleサービスが利用可能です。
・モデル名 M2004J11G
・MIUI Global (11.0.10.0 QJKEUXM)→グローバルROM
・Android ver.10(Q)
・Qualcomm Snapdragon 865 2.84GHz オクタコア(8コア)

各国の電子証明。TELEC(技適)は非対応です。

画質

1080×2400ピクセル(FHD+)のOLEDパネル。
サブカメラが画面内に無いため、画面占有率は92.7%に達します。
ピクセルパターンはダイヤモンド配列で、文字の輪郭や細かい描写も滲み無く非常に綺麗に表示されます。
色もかなり細かく設定でき、色温度だけでなくRGB、HSV、コントラスト、ガンマ等を調整することが可能。
リフレッシュレートは60Hz駆動でありながら滑らかなスクロールを体験することができます。

指紋センサー

指を触れると画面裏のセンサーが直ちに指紋を読み取ります。
OLEDが発光していることから補助光を必要とするCMOSタイプのセンサーを搭載していると思われ、その発光エリアはなかなか大きめ。
発光エリアと認証エリアの大きさは相対関係にある場合が多く、認証エリアも広めになっているかもしれません。
認識精度も速度も前世代に比べて格段に向上しています。

サブカメラ

普段は格納されていて画面を一切占有せず、必要な時だけ出てきてしかも高性能という極めて理に適ったポップアップ式の飛び出すサブカメラ。2000万画素です。
カメラ起動中にサブカメラ切り替えボタンをタップするとモーター駆動により自動で出入りします。
動作もスムーズで昇降動作中には周囲が発光して特別感を演出してくれます。
かなりの広角で腕を伸ばさなくても2人並びなら楽々写すことができます。腕を伸ばせば3人は入りそうな画角。

飛び出し量は約8mm。

昇降動作中のイルミネーション。
スマートフォンからメカニカルに物体が飛び出してくる様は異様で何ともカッコよく、見る人を驚かせるギミックです。
動作も前世代に比べて高速化していて撮影までの待ち時間が大幅に短縮されています。

カメラ画質

※下記作例はリサイズ/圧縮されています。

全て標準モードでのフルオート撮影。HDRはオフ。
標準モードは1600万画素(4624×3472ピクセル)で撮影されます。

極度に光量の少ない場面での撮影比較。
上が実際に目で見た暗さに調整して撮影した写真で下がフルオート撮影写真です。
かなり明るく補正され、目では見えていないものが写って驚くことも。
ただしISOが10000オーバーとかなり高くなり、ややノイズが目立ちます。

周囲が真っ暗でも被写体の光量が十分な場合はノイズも少なく大変綺麗に写ります。

標準(1600万画素)と6400万画素の比較。
生データを最大まで拡大してみてもあまり差は感じられませんでした。
しかしファイルサイズは標準で6.4MBに対して6400万画素は21.8MBにもなりその差はなんと3.4倍。
ほとんど差の無い画質と3倍以上の容量差を考えると6400万画素を必要とする場面はあまり多くないかもしれません。

スーパーマクロモードによるマクロ撮影。

被写体から3cmまで寄って撮影。ズームもトリミングもしていません。
micoSDの表面の凹凸まで描写できています。
こんな写真が無加工で一発で撮れるマクロモードのインパクトは強烈で、それでいてかなり実用的です。
ただしカメラが中央にあるために被写体に近付こうとすると覆いかぶさる形になり影ができやすく、撮影には工夫が必要。

サウンド

Bottom側にあるスピーカーからのみ音が出ます。ステレオではありません。
高音寄りでシャリ感が強く、低音が物足りず聴き疲れしやすい音質。
手に持っていると本体がビビっている振動が結構伝わってくるので共振によるロスがかなり大きそうです。
それでも音自体はビビることなく、音量は普使い切れないと思えるほど爆音です。
先日発表された兄弟機Redmi K30 Ultraはステレオスピーカーに変更されているようなので、F2 Proもアップデートでステレオ化するとともに音質改善してほしいと思うところ。

急速充電

同梱の充電器を接続すると「CHARGE TURBO」と急速充電専用のエフェクトが表示されます。
小数点以下の数字が可視化されているところがユニーク。

電池残量がみるみる増えていくのが視覚的に分かります。
ちょっとしたことですがついニヤリとしてしまうポイント。
ポップアップカメラの動作といい、Xiaomiはこういった楽しい演出が得意なように思います。

試しに社外品のUSB-PD充電器を接続してみると急速充電にはなるものの専用エフェクトは表示されず。
特定の条件ごとにいくつかの表示が用意されているようです。

同梱の純正充電器を使って充電速度を計測してみます。
今回は手持ちの変換アダプタで日本のコンセントに接続しました。

電池残量5%から充電を開始し、66分で100%になりました。
23分で50%の充電ができ、75%付近から速度が緩やかになります。

充電中は発熱があります。
本体は人肌より少し高い温度に、充電器はもっと高温になります。
33Wだから特別熱いというわけではなく急速充電器では一般的なレベル。

講評

全体の造りの良さはこれまでのXiaomi製モデルと同様、特に不満無く十分に納得のいくレベルで仕上げられています。

やはり大きさと重さは気になるところで、形状と重心位置等の工夫はみられるものの長時間の使用や操作性はどうしても辛い部分があるのは事実。
Xiaomiは他社大手に比べて本体サイズと重量が大きくなる傾向があるように思います。

それでもこれだけスペックを詰め込んでのことだと割り切り、4万円代前半という価格を鑑みれば高い満足度を得られる設定なのではないかと思え、こういったバランス取りの上手さはやはりXiaomiならではといえます。