【開封・レビュー】自撮り特化型スマホ。デュアルフラッシュが光る4400万画素セルフィーカメラ搭載「VIVO S9」

2021年3月3日に中国国内向けに発売となったVIVOの5Gスマホ「S9」。
デュアルフラッシュ付き4400万画素+800万画素の2眼セルフィーカメラが最大の特徴。
Dimensity 1100、8GB+128GB、6400万画素3眼メインカメラ、90Hz駆動FHD+ OLEDディスプレイというスペックで、価格は2999元(約49955円)です。

個装箱

珍しい正方形の箱。
薄い波状のエンボス加工でモデル名でもあるSの字が大きく描かれています。

キラキラと反射する細かい粒子が散りばめられています。
S9の文字も凹凸があり、華やかな意匠に気分が高まります。

裏面に貼られた銘板ラベル。
モデル名:V2072A
朝露白というカラーで8GB+128GBのモデルです。

中国語で「スリムな自撮りのフラッグシップ」というキャッチコピーが書かれた内箱。

豪勢に見せる造りはまるでお歳暮の品のよう。

本体

巻くタイプの輸送用の保護シート。
指紋センサーの正常動作のために公式の保護シートを使用するよう注意書きがあります。

裏面にはSIMカードの取り扱いについての注意書き。
他のグローバルモデルに比べると文字が多い印象。

背面はガラス製で幻想的なデザイン。
すりガラスのサラサラとした手触りで、見ても触っても心地良い美しい仕上がり。
見る角度や光の加減によって色が変化します。水色をベースに紫、ピンク、オレンジが感じられます。
側面のフレームは淡いピンク色。女性にも男性にも合う柔らかで優しいカラーリングです。

6.44インチのフラットタイプのOLEDディスプレイ。
保護フィルムは指滑りも上々。

構成

金属フレームの細さに対してディスプレイ枠が太く、存在感が強い飛び出したベゼル。

金属製のフレームを両面のガラスで挟む構造。
ここにもフレームの段差があり、全体的に段差と継ぎ目の多い形状で落ち着きのない印象。

ファンクション

底面部にSIMカードスロット、メインマイク、Type-Cコネクタ、スピーカー。
天面部にサブマイク。
通知LEDは非搭載、ワイヤレス充電も非対応。

金属製のサイドキー。電源キーには細かな網目模様が彫ってあります。押し心地も良好。
電源キーが若干傾いているのが気になります。

カードスロット

nanoSIMカードを裏表に1枚ずつ取り付けるタイプのデュアルSIMスロット。ダミーカードが取り付けられていました。
SDカードには非対応。赤い部分はゴムパッキン。

リアカメラ

6400万画素のメインカメラ、800万画素の広角カメラ、200万画素のマクロカメラの3眼構成。
メインカメラには強力なOIS(光学手ブレ補正)を搭載しています。
カメラ部分の本体厚は9.25mm。その他の本体厚が7.8mmなのでカメラのでっぱり量は1.45mm。
伝統のカード型デザインを踏襲し、高性能なカメラを印象付けます。

重さ

重さは実測で177g。持った感じは軽くもなく重くもなく。

付属品

保護ケース、SIM取り出し用のピン、マイク付きイヤホン、充電器、USBケーブルが付属。

充電器

プラグ部を除いて長さ58mm、厚み25.8mm、幅46mm。重さは76g。
充電プロファイルは3つで最大33Wを出力可能。
・5V 2A (10W)
・9V 2A (18W)
・11V 3A (33W)
VIVO独自のFlash Charge2.0に対応。

USBケーブルはType-A to C。
プラグ部分にFlash Charge2.0の刻印があります。
長さは1m。太さは直径3.6mm。

マイク付きイヤホン

Type-Cコネクタに直接挿せるマイク付きイヤホン。通話のOn/Offスイッチ付きです。
イヤープラグ部の形状はiPhoneにそっくり。

保護ケース

保護ケースはTPU製でかなり強めに青紫に着色されています。
側面にはVIVOロゴの刻印付き。

ケースを着けると幅76.6mm、長さ161mm、厚さ9.44mmになります。重さは197g。
ケースの厚みは部位によって1.12mm~1.32mm、重さは21gです。

側面は厚めでフチも高くなっているため落下の衝撃にも耐えられそうです。

電源ON

Android11ベースのOriginOSがプリインストール。
ストレージの一部を拡張RAMとして使用し、ネイティブ8GB+拡張3GBの計11GBとなっているのが特徴的。

左:通常ホーム、中:コントロールセンター、右:VIVOホーム
コントロールセンターはiPhoneを意識したデザイン。
VIVOホームに設定するとタイルデザインへと変更されます。

言語を日本語に変更できますが漢字は中国語フォントのため違和感があります。

画質

ディスプレイは2400×1080ピクセル(FHD+)のOLED。RGB配列はダイヤモンド配列。
角度による暗さや色の変化はほとんど無く、色合いも自然で屋外使用時の明るさも十分に確保されています。
リフレッシュレートは60Hz、90Hz、おまかせの3つのモードを選択することが可能。
90Hz設定でのスクロールは引っ掛かりも無く滑らかです。

指紋センサー

指紋認証は画面内認証タイプ。
認証範囲は小さめで少々狙ってタッチする必要があります。位置さえ合っていれば多少指が動いても認証してくれるので、認証失敗でストレスを感じることはほとんどありません。
認証速度は「普通」。速くも遅くもなく画面内認証では標準的な速度。

フロントカメラ

4400万画素+800万画素広角の2眼構成。
高解像度カメラのわりにノッチの張り出し量は4.5mm程度と小さく抑えられています。
通知領域も僅か5mmしかありません。

「柔光灯」をONにするとカメラの両脇のライトが常時点灯します。
弱めに調整されていて明る過ぎず暗過ぎずのまさに柔光といった感じ。じっと直視しなければ眩しく感じることはありません。
暗闇で自撮りをしても顔が真っ白になることもなく自然な仕上がりで撮影ができます。
この調光は絶妙です。

左右対称に一ヵ所ずつ、ディスプレイガラスのべセル部分に発光部が隠されています。

フロントカメラ画質

標準モードでは4000万画素(7296×5472ピクセル)で撮影されます。
拡大すると細かい所まで描写が行き届いていることが分かります。フロントカメラで撮影したとは思えない解像度です。

高画質モードでは4400万画素(7968×5480ピクセル)で撮影されます。
人物用にチューニングされているため物の撮影では真価を発揮できていないと思われますが、プラスチックの微細な凹凸をしっかり捉えています。
人を被写体とした時の画質は特に凄まじく、AIの美顔補正と相まってポスターレベルの高度なポートレート写真が自撮りで簡単に実現してしまいます。
フロントカメラは標準モードでも有り余る解像感があり、わざわざ高画質モードに切り替える場面はほとんど無いかもしれません。

サウンド

底面一ヵ所のみのシングルスピーカー。伸びやかな中音域が気持ちよく低音もそこそこ出ていますが、強めの高音が耳障り。
スピーカーでのサラウンド設定は無く、イヤホン使用時にのみDeepFieldというサラウンド技術を使用可能。

OIS(光学手ブレ補正)

本体が動いてもレンズは定位置をキープ。
目で見ても分かる強力な手ブレ補正が効きます。

カメラ画質

標準モードでのフルオート撮影。
標準モードは1600万画素(4608×3456ピクセル)で撮影されます。
色鮮やかでメリハリのある映りが特徴。

光学手ブレ補正の効果は絶大で、暗い環境で手持ち撮影しても全くブレません。
ノイズも少なく非常にシャープで驚きの高画質。

標準モードと広角モードの比較。

標準モードと夜景モードの比較。ここでも光学手ブレ補正が活躍します。

6400万画素モードでは9216×6912ピクセルで撮影されます。
拡大してみるとプレートに書かれた文字のふりがなまでしっかり写っています。
木に巻きつけられた布の網目も鮮明に認識できます。手持ち撮影でこの
光学手ブレ補正は"後で拡大してみたらブレていた"なんてことも防いでくれます。

充電速度

専用充電器でFlashChargeが起動。

バッテリー容量は4000mAh。
付属の充電器を使ってスリープ状態で5%から満充電までにかかる時間は55分とかなり高速。
Realme V5 5GのDART CHARGEと同等の充電速度です。
90%を超えた辺りからから徐々に速度を落としますがその影響もほとんど無くあっという間に充電が完了。

講評

スマホのカメラ撮影がこんなに楽しいものだったのかと言わしめる謳い文句通りのモデルです。
特筆すべきはメインカメラの画質の良さ。
光学手ブレ補正の効果は絶大で暗所だけでなくあらゆる状況で的確に作動します。
色彩鮮やかでくっきりとした高精細な写真が簡単に撮影でき、色々な場面であまりに綺麗に撮れるのであれもこれもと撮ってしまいます。

4400万画素自撮りカメラ+フラッシュはセルフィーが盛んな中国だからこそ生まれた構成ながら使ってみると想像以上に実用的。
メインカメラ同様あまりの画質の良さに思わず笑ってしまうくらいのインパクトがあり、一度使うと他のスマホの自撮りが物足りなく思えます。

性能もデザインも独創的。
故にVIVOが日本で広く活躍するのはもう少し先かな、というのが今回の印象。
VIVOの端末は手にとった時にどことなく漂う中国のローカル感を感じとってしまうのです。
これはひと昔前のOPPOやXiaomiにもあったもので、デザイン傾向や細部の造りなどが作用していると考えられます。
今回で言えばベゼルの飛び出し、フレーム周りの段差などのデザイン、電源キーの傾きなど。
5万円弱の端末にしてはやや大雑把で、緻密さに敏感な日本市場ではまだ受け入れられにくいのでは、と推測します。

それでもこのS9のような独特な端末を次々と打ち出すVIVOは強い個性と特徴をもった存在感のある強力なブランドであり、いつの日かの日本での展開が非常に楽しみです。

このモデルの分解記事はこちらから。