【分解】VIVOのこだわりと独自性が詰め込まれた「VIVO S9」を分解。

分解

2021年3月に中国向けに発売されたVIVO S9を分解します。
セルフィー用デュアルフラッシュの構造、VIVOの設計に着目して内部を検証します。

背面ガラス

背面のパネルはガラス製。両面テープで貼り付けられています。
4辺に分かれている継ぎ目のあるテープですが隙間無くピッチリ貼られています。

外周が僅かにラウンドしたフラットガラスで厚さは0.7mm。表面はサラサラタッチのすりガラス仕上げ。
ガラス自体は透明で、鮮やかな色は裏面に貼られた装飾シートによって表現されています。

NFCアンテナ

カメラの右横にNFCアンテナと大型の放熱シート。
スピーカーにも放熱シートが貼られています。

カメラパネル

カメラパネルは背面ガラス側に固定。
ガラスを剥がすと同時にカメラモジュールが解放されるため、分解時は接触やゴミの付着に注意が必要。

フレームのフランジ部分をガラスの裏から両面テープで固定。
そこにガラスパネルを両面テープで貼り付け。
フラッシュLEDレンズは樹脂製です。

削り出しの金属製フレーム。
樹脂製のフランジが接着剤で固定されています。
3つのカメラ穴の端面を黒く着色してあるのは傾けて見た時に切削面が目立ってしまうのを防ぐのと同時に、撮影時の反射光の影響を抑えるためと考えられます。

防汚処理が施されたガラス製パネル。厚さは0.4mm。
微細な凹凸のテクスチャは裏面に貼られたシートで表現。

フレーム

21本ものネジと強力なツメでメインフレームに固定。
アンテナを兼ねているため多くの接点が設けられています。全てのアンテナがこのフレームに集約されています。

樹脂との一体成型で複雑な切削加工によって切り出されており、相応にコストのかかっている部品です。
ぐるりと貼り付けられたクッションが異物侵入を防ぎます。

サイドキーは外側から挿し込み、キートップのフック状の足の片側を抜け止め金具で引っかけて固定。

このフレームは非常に軽量でたったの13gしかありません。
17gある背面ガラスよりも軽く、金属を持っているとは思えないような軽さです。

電源キーの傾き

レビューの時に気付いたキーの傾きは分解しても傾いたまま。
この部品に原因があることが分かります。

原因はキーの抜け止め金具の取り付け位置にありました。
金具が内側寄りに取り付けられているためキーが引き込まれてしまって傾きが生じています。
キーの傾きを発生させやすい構造です。

基板カバー

金属製の基板カバーを介して基板の熱を放熱シートに逃がします。

メインカメラ

6400万画素のメインカメラのセンサーはSAMSUNG GW3。
ISOCELL Plusを採用した1/1.97インチのイメージセンサーです。
広角カメラはHynix HI846(1/4インチ)、マクロカメラはOmniVision OV02B(1/5インチ)。

メインカメラは高さ6mm、縦横12.3mmで中型サイズ。

光学手ブレ補正の機構により水平方向に滑らかに動きます。
可動範囲が大きく、夜間の手持ち撮影でも全くブレない写真が撮影できたことも納得できます。

メイン基板

導熱グリスで基板の熱を本体へ放熱。

SIMカードスロットが無い分少し小さめの基板。
シールドははんだで固定されていて開けることはできません。
全てのコネクタ周囲がクッションで保護されています。また、ほぼ全てのチップ部品がボンドで補強されています。
耐久性を意識していることが伺えます。

フロントカメラ

4400万画素のフロントメインカメラのセンサーはSAMSUNG GH1。1/2.65インチのイメージセンサーです。
フロントカメラでありながら光学式AFが搭載されたカメラモジュールを採用しています。
広角側はOmniVision OV8856(1/4インチ)。

フロントメインカメラは高さ約4.7mm。縦8.3mm×横8.6mmと縦方向に僅かに短く作られています。
大型のカメラをできるだけ外側に寄せるために作られたカスタマイズ品かもしれません。
それにしても4400万画素のモジュールをこんなに小さくできるものなのかと驚かされます。

レシーバー

2つのカメラに追いやられるように縦向きに設置されたレシーバー。
ステレオスピーカーとしても使えそうな大型サイズで、シングルスピーカーにしておくのが惜しいほど。

サイドキー

キーFPCはメインフレームの側面に両面テープで固定。
はんだ部分は樹脂コーティングされ、汚れや水分の付着による劣化を軽減させます。
メイン基板と同様にここにも耐久性への配慮がありました。

スピーカー

エンクロージャー付きスピーカー。開口部は両面テープでしっかり密閉されています。
内部に極小の球状の粒が閉じ込められていることが確認できます。
この粒は空気を多く含んだ軽量素材で、音圧を上げ、厚みのある音を作り出す音質向上の目的で封入されています。

光学式指紋センサー

指紋センサーはカメラを使用する光学式。
フレームの読み取り穴からOLED越しに指紋を読み取ります。
読み取り穴の径は4mm。実際の読み取り範囲は6mm前後と推測されます。
画面内指紋認証モデルで主流の剥き出しのCMOSセンサーを使用する構造に比べてコンパクトに設置することができる構造上のメリットがあります。
部品の取り扱いも簡単なため組み立て作業の簡素化にも貢献します。

高さは2.9mm。コンパクトさと引き換えに厚みが犠牲になります。
また、カメラという特性上認証面(ディスプレイ表面)とカメラが近いほど認証範囲が小さくなり、遠いほど範囲が大きくなります。その結果認証範囲の広さと本体の厚さがトレードオフの関係になり、薄型の端末デザインには向かない方式であると言えます。
カメラタイプの画面内指紋認証の認証範囲が狭くなる傾向にあるのはこういった事情によるものと推測します。

サブ基板

USBコネクタとマイクにパッキン、SIMカード周囲に両面テープ、マイク部分は基板側にもメッシュが貼られた珍しいダブルメッシュ構造。ここでも異物の侵入防止に余念がありません。
バイブモーターは回転式ながら小気味良くノイズの少ない振動。
緑色の小さな基板はアンテナ中継基板です。

メイン基板同様、コネクタ周囲にはクッションを貼り付け、チップ部品にはボンドが塗布されています。

バッテリー

バッテリーは両面テープ固定。簡単に剥がすことができます。

両面テープの接着面積が少なく接着力も弱め。
分解修理はしやすいものの、落下等の衝撃に対する安全性の事を考えると心もとない保持力です。
・モデル名:B-P9
・PSEマークなし
・容量:4000mAh
・メーカー:ATL
・サイズ:縦83×横62×厚さ4.3mm
・重量:53g

基板部分。
こちらもチップ部品がボンドで補強されています。

ディスプレイ

90Hz駆動に対応するOLEDでディスプレイ。全周を接着剤で固定してあります。裏面は全面が灰色のクッションで覆われています。
ガラスの厚さは0.7mm。

メインフレーム

基板の発熱部分から電池の裏面にかけてベイパーチャンバーが仕込まれています。液冷、Liquid coolingとも呼ばれる冷却システムで、内部に封入された液体が自然循環することにより高い熱拡散効果をもたらします。
フレーム一式の重さは24gと他機種と変わらないことから、ベイパーチャンバーを載せたからといって必ずしも本体重量が増加するというわけではないということが分かります。

セルフィー用フラッシュライト

左右独立した2つのLEDが基板に直接実装されています。
このLEDをメインフレームから覗く導光部品の直下に配置。
レンズ状の受光面はLED光を集光する効果を狙っているようです。

ディスプレイ側を見てみるとレンズから入った光を効率良く導光するためにミラー加工されています。
更に終端面にシボ加工を入れて発光面のムラを減少させています。

実際にLEDを光らせてみるとしっかりと光が伝わっていることが確認できます。
この部品は銅箔テープの下に閉じ込められているため、光がほとんど減衰することなく終端面まで導光されます。

ロスが少ない=電力効率が良い、を実現するための大変良く考えられた導光部品。
特に受光面のレンズ加工とミラー加工は他機種では見られない独自性の高いもので、VIVOの自撮りへの強いこだわりが感じられます。

近接/環境光センサー

2つのカメラの間に縦置きされたセンサー。

分解完了

随所に耐久性に配慮したと思われる構造がみられ、品質に対する意識の高さが伺える設計が印象的。
驚きの工夫が込められた導光部品によって実現したセルフィー用デュアルフラッシュなど、細部に目の行き届いた設計が随所にみられました。

精巧さという意味ではもう一歩ではあるものの、デバイスの一つ一つを最大限に活かすための構造を的確に作り上げているように感じます。それにより製品の性格が明確でムダの少ない製品に仕上がっています。
VIVOもまたXiaomiと同様に商品コンセプトをユーザーの要求に合致させることが上手いメーカーなのかもしれません。

独自路線を行くVIVOのキャラクターが中身にまで宿っていたことが面白く、今後の展開を楽しみにさせられる一台でした。

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