【分解】見えないところも美しく。Nothing phone(2)は内部もキレイ。
この記事はNothing日本公式ストアを運営するFastlane Japan株式会社から製品提供を受けて作成されました。
記載の内容はHW/TECHNICALの調査・分析による独自のものです。
2023年7月25日に発売されたNothingの2ndスマートフォン「phone(2)」を分解します。
背面ガラス
両面テープで貼られた背面のガラスを剥がすことはさほど難しくありません。
ガラスを介さずに直接見る背面の立体感は歪み無くシャープで純粋。
ガラスの内側面には破損時の飛散を防止する透明のフィルムが貼られています。
LEDモジュール – Bottom
Glyph LEDモジュールのコネクタは金属板でロックされています。これはコネクタを後入れする必要がある構造になっているためで他のスマホでは見ることの無い構成です。
「複雑な構造で難しい組立をしているに違いない」という予感が早速現実のものになりました。
サブ基板カバー
基板の保護とコネクタの保持の役割を持つ基板カバー。
サブ基板、スピーカー、バイブモーター
通常は黒色で作られるスピーカーもこのモデルに限ってはホワイト仕様。本物の構造物を見せるために専用色のスピーカーを使用しています。
サブ基板は耐久性を意識して作られています。
パッキンでコネクタを守り、チップ部品は樹脂固めで補強&保護。
画面内指紋センサー
高速認証を実現する指紋センサーはカメラを使った光学式。
光を透過するOLEDディスプレイの特性を利用し、フレームに空けられた小さな穴から画面越しに指紋を読み取ります。
コネクタ付きのアンテナ基板
アンテナ基板は同軸ケーブルに加えてFPCも接続されています。
このFPCはphone(1)には無かったもので、アンテナ基板にマウントされたICでアンテナを制御するためのもののようです。
カメラ横の飾り板
カメラ横の飾り板とタリーライトのカバーは両面テープで貼り付け。
フラッシュレンズの中には1灯式のLEDと環境光センサーがありました。
フラッシュレンズの細工
外から僅かに見えるフラッシュレンズの側面を白く塗装して周辺と調和させています。
目を凝らしても分からないような細かな部分にも気配りを欠きません。
サブマイク、イヤースピーカー
フラッシュ・環境光センサー基板の裏面にサブマイクがあります。
イヤースピーカーは密閉構造をとるために少し大きめ。過密状態になるメイン基板周りでよくスペースを確保したなと思うところです。
隠れたネジを外す
ここからは分解順序が複雑になります。
バッテリーカバーをずらしてカメラカバーの裏に隠れたネジを外します。
どちらのカバーも細いFPCで繋がった状態での作業となり神経を使います。
秘密のデザイン?
ここで注目したいのはバッテリーカバーに空けられた小さな四角い窓。
この窓はカバーをずらした時にちょうどネジの位置に一致するようになっています。
わざわざこんな小さな窓を通してネジを締めているかどうか疑わしくはありますが、そこはNothingが作るスマートフォン。そんなわざわざを実際にやっていてもおかしくありません。
メイン基板とバッテリーのカバー
ここまで分解してようやくスマホらしい内部構造が見え始めます。
カバーの奥の見えない場所も美しくデザインされ、大切に設計されたことが伺えます。
カバーは3つの部品に構成。
基板カバーには大型で厚手の熱拡散シートが貼られています。
LEDモジュール – Mid/Top
円形のGlyph LEDモジュールはワイヤレス充電コイルとNFCアンテナを囲むように配置。
NFC機器にかざす時はこのLEDの中心部を目安にするとよさそうです。
LEDモジュール – カメラ
カメラ周りとスラッシュ状のGlyph LEDモジュールは裏面が板金で補強されています。
メインカメラ
特徴的なスイッチ状の造形は円盤部分を別部品にしたことで奥行き感のある陰影を作り出しています。
あまりによくできた質感は、もしかして本当に動かせるのではないかと思っていたほどです。
メインカメラ
メインカメラはOIS(光学手ブレ補正)を持つ15mm×15mmの大型モジュール。
このカメラは本当に使いやすくチューニングされていて、適当に撮っても鮮明で綺麗な写真を撮ることができます。
メイン 50MP:SONY IMX890
広角 50MP:SAMSUNG JN1
フロントカメラ
SONY IMX615のカメラモジュール。
この小ささで32MPもあることに驚かされます。
メイン基板
基板を覆う熱拡散シートの中塗布された導熱グリスでSoCからメインフレームへ効率よく熱を伝えます。
また、サブ基板同様に全てのコネクタとチップ部品がパッキンと樹脂固めで保護されています。
基板の保護構造はphone(1)からアップグレードされました。
快適動作の要のSnapdragon 8+ Gen1がRAMの下にあります。
周辺のチップ部品も高密度にかかわらず精度良くマウントされています。
なお、メイン基板の銅箔、スズはんだは100%リサイクル材を使用しています。
バッテリー
タブを引っ張って簡単に剥がし取ることができる修理のしやすいバッテリー。
ダメージを与えることが無いため事故の心配がありません。
・モデル名:NT02
・PSEマークあり
・容量:4700mAh
・メーカー:BYD
・サイズ:縦88×幅65×厚さ4.3mm
・重量:63g
ケーブル類
BtoB FPCが曲がりくねっているのは実際に機能している本物のFPCを見せるため。それっぽい飾りで誤魔化さないところがNothingの思想を象徴しています。
電源キー
アルミ削り出しのキートップの軸には赤いOリング付き。
スイッチはこのOリングによって外部と隔てられた内側にあり、水気やゴミによる接点不良を防止しています。
音量調節キー
音量調節キーも電源キーと同様にOリングでスイッチを保護。
キー周りにこのような保護構造を持つスマホはごく少数です。
LTPO OLEDディスプレイとメインフレーム
phone(1)で強烈だったディスプレイの接着力はphone(2)でも健在。無傷での取り外しは困難を極めます。
イヤースピーカーの開口部分は水が侵入してもOLEDを侵さないように保護加工されています。
肉厚で高剛性のメインフレームはリサイクルアルミを100%使用。見た目ではバージン材と何ら変わらず精巧に作られています。
ベゼルの歪みが直った
ベゼル部分にあった歪みはディスプレイを剥がすとすっきり綺麗になりました。
メインフレームにあるガラスを支える突起と歪みの位置が一致していることから、原因はディスプレイ接着時の加圧が均等でなかったためと推測します。
強化された発熱対策
メインフレームの熱拡散シートを剥がした所にベイパーチャンバーがあります。導熱グリスを介してCPUと接触させ、封入されている液体の気化と液化のサイクルによる高い熱伝導性で熱を素早く吸収し広範囲に拡散します。
phone(1)と比較すると2倍近く大型化していて発熱対策も一層強化されました。
分解完了
背面デザインを実現するため部品の数は膨大。
その膨大な部品から成る一般的なスマホではまず見ることの無い複雑な構造の理由はデザインを実現するために他なりません。
難しい組立にもかかわらず目立った汚れやゴミは見られませんでした。丁寧に組み立てられています。
一つ一つの部品も精度が高く隅々まで神経が行き届いている印象を受けました。
各部の防塵・止水構造、大型のベイパーチャンバーを用いた放熱はハイエンドモデル相当の贅沢な仕様で、デザインだけでなく基本性能部分も周到に作り込まれています。
そんな精巧な部品に多くのリサイクル材料を多用したことで、生産・消費における環境配慮の必要性をユーザーに訴求しています。
それを知るとクールな姿の中にもどこか優しさを感じられる気がします。
内部構造は前作のphone(1)を踏襲していて、部品のレイアウトや形状がそっくり。
これによってphone(1)で培われた検討成果の多くを引き継ぐことができたと思われ、開発コストを削減するとともに設計の成熟が更に進んだのではないかと思います。
逆を言えばphone(2)では構造変更の必要がほとんど無いくらいにphone(1)の完成度が高かった、ということなのかもしれません。
構造の無駄を削ぐことは厚みを減らしたり重量を軽くしたりすることに繋がるわけですが、背面の演出のために用いられる部品たちは無駄そのものと思われがち。
Nothingは比類の無い美意識によりそんな無駄を唯一無二の趣に変え、人を惹きつける製品を作ることに成功している数少ないメーカーの一つだと言えそうです。
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