【分析】iPhoneだけが唯一採用する分解泣かせの「超特殊ネジ」を観察。

20/05/04分析

スマートフォンには部品を固定するためにたくさんのネジが使用されています。
部品が密集する端末内の隙間を縫うように取り付けられるネジなので当然小さく、かつ安定した締結力が求められ、多くの特殊ネジが存在します。
そんなスマホ特殊ネジ界の王、iPhoneのみが採用する超特殊ネジを分析します。

使用されている場所

今回は以前分解した第2世代iPhone SEで見ていきます。
多くのiPhoneで主にディスプレイユニットで使用されています。
頭を叩いて潰したように平べったく、ネジとしての存在感がほとんど無いのが特徴です。

超低頭ネジ

側面を拡大してみます。
一番小さな目盛りが0.1mmですので頭の厚みは0.1mm強で、なんとコピー用紙2枚分程の厚さしかありません。
このような形状を「低頭」と呼び、このクラスになると「超低頭」となります。
ネジの長さは約1mmで有効部は3山くらいです。青く見える部分は緩み止め。

侵入者を拒む極小溝

頭を拡大します。
頭の直径は2.2mmほど。ネジ部の長さに反して頭が広く大きい形状です。
接地面が大きく取れるため相手部品へ食い込みにくく、接触面との摩擦抵抗が大きくなることにより緩み留めの効果が期待できます。

そしてこのネジを超特殊と言わせしめるたった0.8mmしかない針で空けた穴のような溝。
三つ葉のクローバーのような形状です。
一般流通している3溝のドライバーで回そうにもあまりに溝が狭いため刃が入らず、仮に入ったとしても簡単に溝を潰してしまします。
運よく緩められたとしても締める時に溝が潰れる…。

iPhoneの分解に挑む多くの人々を挫折させてきたネジなのです。

溝の形状の理由

溝が極小になる理由は超低頭ためであると考えられます。
一般的なプラス溝では肉が足りず破れてしまい形になりません。
かといって溝を浅くするとドライバーの掛かりが足りず満足に力をかけることができません。

そこで三つ葉の溝をよく見てみると外に向かって扇状に僅かに開いているため、回転力を加えるとネジを抱え込むように力が内向きにかかるようになっています。
これにより極小の溝でもドライバーの刃が逃げにくくしっかりと締めることができるのです。

なぜ使われるのか

この特殊過ぎるネジが使われる一番の理由はやはり超低頭の形状であり、通常のネジでは周囲と干渉してしまう場所でも強い締結力とその持続性を発揮することができるからに他なりません。
分解防止のためではないのです。
これだけよく考えられたネジですから専用ドライバーと併せて特許が絡んでいるものと思われ、コストも相応にかかっていると推測します。

誰も気にしないような所で活躍する高度な技術とアイデアが詰まったネジ。
世界で絶賛されるiPhoneのデザインを可能にした小さな立役者と言えるでしょう。
たかがネジ、されどネジの世界に深く感銘を受けたのでした。

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