【レビュー】格安スマホがハイエンドに真っ向勝負「日本国内版 Xiaomi Redmi Note 9S」の外観と動作を確認。

20/06/13

ディスプレイ

3Dカーブの無いフラットガラスです。
外周部分だけ僅かにRが付いています。

保護フィルムが最初から貼り付けられています。
若干ズレていますがカメラ穴も抜いてあります。

背面パネル

背面は3Dにラウンドしたガラス製。少し灰色がかったホワイトです。
Xiaomiの発表によるとCorning社のGorilla Glass5を使用しているとのこと。耐傷性を高めた強化ガラスです。
日本国内版は「Redmi」のロゴのみが印刷されます。

Xiaomiが得意とする複雑な反射をする特殊な仕上げ。
光がうねるように反射します。

ガラスの裏面に施された非常に細かい波状の凹凸で意図的に光の干渉を発生させ、この複雑な反射を生み出しています。

フレーム

表裏のガラスでミドルフレームを挟む構成。
ディスプレイガラスは未塗装の黒いプラスチック製の枠に貼り付けられています。

まるで金属のように見えるミドルフレームは実はプラスチック製。
プラスチックの母材に金属蒸着をかけ、鏡面をレーザーで荒らしてサンドブラスト調に仕上げています。
非常に完成度が高く、金属だと思い込んでいる人も相当数いるだろうと想像できます。

重さ

重さは実測値で212gとかなりの重量ですが、手に取ってみると本体が薄く手に馴染む形状のため、思っていたよりも重さを感じません。

本体部分の厚さは実測値で8.92mm。公称スペックは8.8mmです。
恐らく公式はディスプレイ面の保護フィルムを抜いた値を公表していると考えられます。

ファンクション

底面部にイヤホンジャック、Type-Cコネクタ、マイク、スピーカー。

天面部にサブマイク、赤外線ブラスター。
インカメラの上のたくさんの細かい穴が開いている部分がレシーバーです。

右側面に樹脂製の電源キーとボリュームキー。電源キーには指紋センサーが内蔵されています。
カチカチと明確なクリックがあり押し心地は良好。
電源キーのエッジがかなり鋭く、指が引っ掛かる感じがあります。

インカメラのすぐ右上に近接センサーと環境光センサーと思われるデバイスが見えます。

通知LEDはレシーバーの中にあります。
奥まった場所にあるため斜めの角度からは見えません。

カードスロット

左側面部にカードスロット。
付属のピンを挿しこんでカードトレイを引き出します。
白いためか、少しチープな印象を受けます。

止水、防塵用の簡易的なゴムパッキンが付いています。

nano SIMカード2枚とSDカードが搭載可能なトリプルスロット。
トレイの強度を上げるため板金がインサート成型されています。
そしてここに素晴らしいアイデア。
インサートした板金の一部をわざと露出させてカードの切り欠きの位置(カードの向き)とスロット番号をユーザーに知らせる効果を持たせています。

カメラ

4800万画素のメインカメラを軸にした4眼構成。
フラッシュLEDは1灯ですが強烈な明るさです。光色は緑味が強め。

激しく出っぱっていますがこれはカメラが出ているというよりは本体を薄くした結果カメラが取り残されたと表現する方が正しい。

カメラ部分の厚さは10.96mm。
本体部分が8.92mmですから出っぱり量は2.04mmということになります。
これだけの張り出しがあってもカメラが中央に位置しているおかげで机置きで使ってもガタガタと不安定になることはありません。

保護ケース

付属のTPU製の保護ケースは適度な硬さでズレ無くピッタリ。
貼りつき防止のドットテクスチャーが少々目立ちます。

電源キー部は穴が開いています。
この状態だと電源キーのエッジも気にならなくなります。キーの押しやすさもまずまず。
ディスプレイ周囲の淵の高さは0.5mm程度で指の引っ掛かりもさほど気になりません。

カメラの出っ張りより僅かに高く作られたケースの淵が擦れや衝撃からしっかり守ってくれます。

Type-Cコネクタ部のキャップは少しキツめに作られていて軽く押し込んで閉めます。
都度開け閉めするのは面倒ですがコネクタの故障を軽減する効果が期待できます。
無接点充電に対応する端末であればキャップ付きケースのメリットが大きくなりそうですね。

電源ON

ブート画面にRedmiロゴ。
起動時の振動でバイブがリニアアクチュエータ方式であることが分かります。
文字で表現すると「ブルッ」ではなく「フォンッ」という感じ。まろやかな振動です。

Android10ベースのMIUI11がプリインストールされています。
・モデル名 M200030217
・MIUI Global (11.0.7.0 QJWMIXM)→グローバルROM
・Android ver.10(Q)
・Qualcomm Snapdragon 720G 2.3GHz オクタコア(8コア)

もちろんOSレベルでダークモードに対応していてGmailも悲願のダークテーマが使用可能です。

技適も取得済。

画質

ディスプレイは液晶パネルです。
拡大すると「く」の字状にRGBが配列しています。
視野角が狭く液晶特有の白っぽさが気になる場面が多いものの、十分な明るさと色の鮮やかさが特徴的。
YouTubeの60fps動画も大変滑らかに再生できました。

基本動作

全体的にストレス無くスムーズに動作しますが、マルチタスクでYoutubeを視聴しながらブラウザを使っていると徐々にスクロールに引っ掛かりが出始めました。
それでも動画がカクつくことはありません。

使用中はカメラの左横辺りが温かくなりやすく、重い処理による内部温度の上昇に伴ってCPUに動作制限が入っている可能性があります。
カメラが中央にある都合で基板の放熱性が良くないのかもしれません。

インカメラ

Redmiシリーズでは初となるパンチホールタイプの1600万画素セルフィーカメラ。
XiaomiはこのディスプレイにTiny dotdisplayと名付けています。

カメラの直径は約4.5mm。
パンチホールタイプとしては大きな部類ですが、使用中に存在を意識することはほとんどありません。
保護フィルムのズレの方が気になります。

カメラ画質

暗所撮影ではかなり明るくシャープに撮れる傾向があります。
暗くて目で見えていなかった物が写っていて後で驚く、なんてことがあるほど。

このアジサイもほとんど灯りの無い暗所で撮影したにもかかわらず驚きの明るさです。
色味は実物よりも青めに写り、鮮やかさが強調されます。

マクロモード撮影は3cmくらいまで寄れます。
右下の定規のひと目盛りは1mmです。細部まで精細に撮れています。
この価格帯でこれだけの描写ができるのは大満足の画質と言って良いのではないでしょうか。

赤外線ブラスター

赤外線リモコン機能は「Miリモート」アプリを使用します。
プリセットされたメーカーを選択し、表示に従って簡単に設定可能。

テレビに向けて操作ができます。レスポンスも良く普通に使えます。
残念なのはUIがあまり良くなくカスタマイズや機器の追加の方法が分かりにくいという点。日本語もところどころおかしい部分があります。
便利な機能なので今後のアップデートでの改善に期待。

サウンド

スピーカーはシングルスピーカーで底面の穴からのみ音が出ます。
音質はやや高音が強めでシャリ感があります。
シングルながら音量はかなり大きく屋外でも十分なボリュームを確保できます。
車の通りの多い騒がしい場所でも快適にハンズフリー通話が可能でした。ノイズキャンセルも良く効いて騒音を上手くカットできているので相手側でもしっかり声を聞き取れます。

急速充電

付属の充電器を接続すると「急速充電」と表示されます。
ステータスバーにはダブル稲妻アイコン。
いかにもな演出のおかげで急速充電できていることが一目で分かって便利。

同梱の純正充電器を使って充電速度を計測。
電池残量5%から充電を開始し、93分で100%になりました。
30分で50%の充電ができ、70%付近から速度が緩やかになります。

充電中は発熱があります。
本体は人肌より少し高い温度に、充電器はもっと高温になります。
身の危険を感じるほどではありませんが布団の上など熱がこもる場所での使用は避けた方が安心です。
充電器も設置場所には注意しましょう。

講評

ただコストを削って端末を安く作るのではなく、驚きのアイデアをもって価格以上の価値を創出する姿勢が大変好印象です。
そして多くのユーザーが意識するカメラ、電池容量、充電速度、質感を犠牲にすることなく仕上げ、価格とパフォーマンスのバランスを高い次元で実現したXiaomiらしいモデル。

これでいいや、と思って買ったらいつの間にかこれがいいな、に変わっている、そんな魅力を秘めた端末です。

日本を含めたグローバル全体での市場の要求を的確に分析して製品化することは、各地域独特の文化や法令等の深い理解が必要であり容易なことではありません。
Xiaomiがスマホの技術力だけでなく、そういった分析を通したトータルのマーケティング能力が相当に長けているということを実感するモデルでした。