【レビュー】良モデルの予感。「Samsung Galaxy S24」がすっと馴染んで使いやすい。
2024年1月18日にグローバル発表され、1月31日に発売となったSamsung Galaxy S24。
日本国内版は2024年4月3日に発表、4月11に発売となりました。
ギラギラハイエンドAndroidスマホに一石を投じる良モデル、Galaxy S24の海外版(SM-S9210) Marble Greyを開封、レビューします。
パッケージ
既に端末の軽さを感じる薄型の箱。コンパクトで保管場所にも困りません。盗難等の不正を防止するためのシールで封かんされています。
記載によるとこの個体はベトナム製のようです。
付属品
充電器、ケースは付属しません。付属品はUSB-CケーブルとSIMカード取り出しピン。ケーブルは直径3mmと細くて柔らかく使い勝手が良いものになっています。
本体
黒い輸送用画面保護シートの左下にはSIM取り出しピンを挿す位置を示す案内があります。ピン穴はUSB-Cから離れた一番外側の位置。間違ってマイク穴に挿してしまいがちなので嬉しい配慮です。
完全フラットなディスプレイガラス
ディスプレイは6.2インチで解像度は2340 x 1080のFHD+。ガラス(Corning Gorilla Victus2)は隅々まで完全なフラットで板感強め。
ディスプレイ保護フィルムは貼られていません。Galaxyの純正フィルムは質が良かっただけにここは少し残念。
明るく見やすいディスプレイ
ナチュラル志向の自然な色合いに調整されたLTPO AMOLED。日光が当たる屋外でもしっかり画面が見える明るいディスプレイです。
明るさとブルーライトの自動調整が優秀で、AppleのTruetoneさながらに様々な環境で本当にピッタリの状態に合わせてくれます。
日本国内キャリア版Galaxyシリーズに採用されているシステムフォント「イワタUDゴシック」はグローバル版には入っていません。Galaxy storeで購入してインストールすることになります。
可変リフレッシュレート
表示の動きに合わせてリフレッシュレートを変化させる可変リフレッシュレートに対応しバッテリーの消費を抑制します。
動きがある時は120Hz、動きが全く無い時は24Hzに切り替え、状況によっては60Hzと80Hzも併用。速い動きも遅い動きもチラつきは皆無でとても滑らか。他社の120Hzモデルよりも見やすく感じます。
動きの無いコンテンツではスクロール→止める→指を離す、を意識して画面が全く動かない状態を作ることでバッテリーの消費をある程度抑えることができそうです。
ただし僅かな動き、例えばステータスバーの時計が1分進むだけだけでも120Hzに切り替わるため意外と120Hz状態が長く、可変レートを活かしきるためには改善の余地があるようにも思えます。
深みある背面
背面はサラサラタッチの強化ガラス(Corning Gorilla Victus2)です。やや指紋が残りやすいものの手触りは抜群。
鉱石からインスピレーションを受けたというカラーは深みがあり、シルバーからグレーへと変化するグラデーションが綺麗で表情豊か。明るい環境では白っぽく見えたりと色の変化も楽しめます。
Samsungロゴは控えめな処理であまり目立たないようになっていて、角度によってはほとんど見えなくなります。
サイドフレーム
側面フレーム部分はArmor Aluminumと名付けられたアルミ製。艶消し加工による鈍い輝きが空間に静かに馴染みます。
S23の時のふっくらとした丸みは削ぎ落されて直線的な形状になりましたが、エッジが丸められているため見た目よりは手当たりが柔らかく、角々しさが緩和されています。
手に収まる軽量コンパクトスマホ
S24の最大の魅力ともいえる本体サイズは147.0×70.6×7.6mmとコンパクトで重量も167gととても軽量。細身で長時間持っていても疲れにくく、小さな手でも扱いやすいサイズです。
それでいて画面が狭い小さいと感じることも無く、ジャストサイズの完成形と言っていいでしょう。
iPhone15Proと同じサイズ
幅、高さはiPhone15Proとほぼ同じ。しかしS24はバッテリー容量を4000mAhと控えたこともあってiPhoneより0.6mm薄くて20gも軽く、待望の小型軽量ハイエンドスマホとなりました。
カメラ
日に日に肥大化していく大げさな出っ張りを排除し、最低限の飛び出しでシンプルにまとめられたデザイン。キラリと光る光沢仕上げのカメラリングがサイドフレームと対照的です。
構成は上から超広角:1200万画素、メイン:5000万画素、光学3倍ズーム:1000万画素。メインとズームには光学手ブレ補正付き。
メインカメラは16画素を大きな1つの画素にするアダプティブピクセルセンサーによって暗所撮影能力を強化し、光学2倍相当のズームを可能としています。
見たままに撮れる自然なカメラ
標準モードでは4000×3000ピクセルの12MPで撮影されます。
白波や波しぶきも細かく表現され、海のみずみずしさが伝わってくるような一瞬を撮り納めることができました。
ポートレートモードにしなくてもボケ感が自然でいい感じ。日差しの柔らかさや空気の暖かさを感じられる描写力で見たものを正確に記録することができます。
撮りたいものを見つけたらカメラを起動してシャッターボタンを押すだけ。失敗のしようがなく、複雑な設定をしなくても気軽に撮って目で見たまま自然に撮影できる良いカメラだと思います。こういった性格はiPhoneのカメラに似ているかもしれません。
しかし広角撮影では歪みが大きいこと、拡大するとノイズが目立ち解像感が物足りないこと、は気になるところで、他社の高画質モデルと比較すると劣っている感は否めません。
夜景も明るく綺麗に撮れます。
シャッター音はシステム音の設定とリンクしていてサイレントモードに切り替えると消音になります。
USB周り
USB-CポートはUSB3.2 Gen1で最大5Gbps(約625MB/s)の高速データ通信が可能。すぐ横の穴はメインマイク。
スピーカー穴は一本線のスリットになりとてもスッキリしています。
イヤースピーカー周り
天面には本体内部を周囲と同じ気圧に保つための気圧調整穴とサブマイク。
1200万画素のフロントカメラは3mm弱と小径です。
フレームとガラスの間に薄く空けられたレシーバー穴はとても細く存在感を感じさせません。
隠された第3のマイク
広角カメラの根元をよく見ると小さな窪みがあり、この奥に2つ目のサブマイクが隠されています。余計なマイク穴を増やさぬようデザインに気を遣っていることが伺えます。
S24は底面、天面、背面の3つのマイクを状況に応じてリアルタイムで切り替えて常に最良の集音ができるように制御しています。
優れたマイク性能を損なわないためにも、保護ケースはこの隠しマイクを塞がない形状のものを選択する必要があります。
側面キー
アルミ製のキースイッチは軽めでカチカチと軽快な押し心地。ガタも無く高い精度感を感じられます。
デュアルSIM
2枚のnanoSIMを取り付けられるデュアルSIMに対応。型番SM-S9210はeSIMが使用できません。
パッキン付きのSIMカードトレイで防水防塵等級はIP68に準拠。
ステレオスピーカー
中音域が弱めで高音が目立ち少々騒々しい印象を受ける音質です。低音域は厚みに欠けるものの出ている方だと思います。しかし下から上まで音域は広いのに所々抜けたような感じでまとまりがいまひとつ。
サラウンドはDolby Atmosに対応しますが、元々立体感が強いためONにしてもあまり変化は感じられません。
本体の向きに応じて左右を入れ替えるランドスケープにも対応しています。
手元で聴くとシャンシャンとした音が耳につきますが、距離を置いてみると音の広がりが効いて聴きやすく音量も十分。中~遠距離で本領を発揮するチューニングになっているようです。
ガラスフィルムを貼っても指紋認証は使える
安価なガラスフィルムを貼って認証動作を確認。使用したガラスは指紋認証の正常動作を売りにしていない製品で接着層を合わせて実測0.45mmの厚さのもの。
フィルム貼り付け後に指紋を新規登録して認証してみると正常に動作しました。時々失敗することはあるものの日光が当たる屋外でも認証できて常用可能なレベル。
バッテリー容量に合わせた充電速度
有線充電はUSB-PDに対応し最大25Wの充電が可能。バッテリーが4000mAhなので必要十分な速度です。
Anker製30W充電器+ケーブルの組み合わせで24W程度の充電ができました。超急速充電が確立すると気持ち良い効果音と共にダブル稲妻マークが点灯し"超急速充電"と表示されます。
充電速度は30分で60%、45分で80%、1時間15分で100%でした。
ワイヤレス充電は相性が出やすい
Anker製24Wチャージパッド+30W充電器の組み合わせでは急速充電にならず8W程度での充電となり、低速な上に発熱も大きいため実用性はありませんでした。
ワイヤレス充電器はS24の急速充電に対応すると明示している充電器を選んだ方が良さそうです。
密かにキャラクターの立つ良モデル
明るく見やすい滑らかディスプレイ。失敗の無い自然な写りのカメラ。バッテリーはまぁまぁ減るけど1日は大丈夫。発熱は少しあって時々ほんのり暖かい。動作は非常に軽快でストレスなし。我慢できないほどの不便や不快感は無く、軽さと小ささに価値を見いだせれば価格以上の満足感があります。
UIも細かい所まで作り込まれていて分かりやすく、雑味を感じる場面がほとんどありません。高い完成度のハードとソフトで使い勝手までもが滑らか。シンプルなのにフレンドリーで、気付けばすっと自分に馴染んでいます。
Androidでこのレベルの使用感は他のメーカーには作れないだろうと思わせられます。
巨大な画面と激しく出っ張ったカメラに重たい大型バッテリーを積んだ単調なハイエンドが乱発される中で、控えめなデザインとサイズで滑らかな使い心地がS24の何よりの個性であり、Androidスマホにおいて唯一といってもいい存在に仕上がっています。
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